午後6時前後になると、徳之島の東海岸に鹿児島行きの定期船の姿が現れる。 船の別れはなぜか切ない思いがするが、飛行機にはない情緒がある。
新民謡「奄美小唄」に、♪ 定期船なら鹿児島通い なぜに届かぬ 内地の便り かなしゃるちゅぬ なちかしゃや・・・・♪ と唄われている。 定期船は飛行機が飛ぶまで、本土と奄美の島々結ぶ唯一の交通手段だった。 昭和30年代は、亀徳、母間、平土野の各港から、艀(はしけ)で本船まで乗客を運び、シケの時は、艀から本船に飛び乗るのが大変だった。 船内は狭くて冷房もなく、重油の臭いと揺れで嘔吐する人が続出、嘔吐用の洗面器が常備されていた。
最近の近代化された定期船は、8000㌧と大型化、バリアフリーに配慮。 レストラン、ゲームコーナなども常設され洋上に浮かぶホテルといった感じである。
定期船の下りは、鹿児島を夕方出港すると翌朝、亀徳港着。上りは、徳之島を夕方出港すると翌朝鹿児島港着。 時間に余裕があれば船内で一眠りすると目的地に着く、船旅も捨てたものじゃない。
|