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オカヤドカリの産卵を観察する家族連れ=9日午後8時ごろ、金見崎海岸
平成21年7月10日(金)
”自然界のドラマ”オカヤドカリの産卵観察
奄美や小笠原諸島などに分布する国の天然記念物オカヤドカリが先月から繁殖期を迎えている。白い砂浜とアダンの群落が残る徳之島町金見崎海岸は徳之島最大の繁殖地。週末ともなると、大勢の家族連れや各学校の観察会で賑わう。昨夜は、同海岸近くでレストラン「ぶるぅーめぇーる」を営む佐武広信さん(42)一家が産卵観察に訪れていた。
夕暮れと共に、アダンや岩陰から足の踏み場もないほどの大群が波打ち際を目指して大移動を始める。波打ち際にたどり着くと海中へと入り、体を殻から出し入れして茶色い幼生を放出する。
オカヤドカリの仲間は世界でわずか13種類、国内で7種類、金見崎では5種類が確認されている。海に放たれた幼生は2週間ぐらいで、親と同じ形に変態して陸に上がってくる。一度陸に上がったら、再び海に帰ることはなく、一生を陸で送る。それでヤドカリの上に「陸」(オカ)を冠するようになった。陸で誕生した幼生が海に入って成長して、又、陸に戻るという過程を経る実に珍しい一生である。毎年数回、観察に出かけているが、あまりの個体数の多さに圧倒され、個々を観察した事がない。先週、夕暮れ前の移動を観察していたら、波打ち際の砂浜で交接と思われる行為をして海に向かう姿が数多く確認された。

産卵に向かうオカヤドカリ3日午後7時半ごろ徳之島町金見海岸
                   

波打ち際手前の砂浜で繰り広げられた「交接」
雌の奪い合い

交接後海へと向かう もうすぐ海水 海水に入り幼生放出の準備
海水に入り体を殻から出し入れ 茶色い幼生を海へ放つ 一面幼生が浮遊